膝の前十字靭帯が断裂する怪我は、どの年齢の人にでも発生し得ますが、特に膝を動かして方向転換を頻繁に行うスポーツ選手においてよく見られます。膝がねじれて前十字靭帯が断裂する事故が発生すると、膝関節が不安定になり、スポーツで膝を通常どおりに使用することができなくなります。さらに、膝関節の他の部位への怪我が発生したり、膝の骨折クッションが断裂したり、軟骨の表面が割れたりして、時期尚早の膝関節症を引き起こすことがあります。このため、特にスポーツ選手は、前十字靭帯の再構築手術を受ける必要があります。この手術により、高いレベルでスポーツに復帰することが可能になります。
現在、医師は患者さんに、膝の外側の靭帯を補強するための手術(Lateral Extra – Articular Tenodesis: LET / Anterolateral Ligament Reconstruction: ALL – R)を前十字靭帯の治療手術と併せて行うことを提案することがあります。これは、将来的にスポーツ選手が再度怪我をするリスクを減らすためです。
膝の外側の靭帯補強手術は誰に適しているか
以下のような症例において、医師は膝の外側の靭帯補強手術を推奨する可能性があります
- 関節が緩い状態、関節の靭帯が弱い(Generalized Laxity)
- 膝のねじれがひどい状態が確認された(High – Grade Pivot Shift)
- 膝の過伸展が見られる(Knee Hyperextension)
- X線で確認された脛骨前面の異常な角度(Increase Posterior Tibial Slope)
- 若い年齢のアスリートで、ねじれを伴うスポーツに復帰する必要がある場合(Young Athletes Returning to a Pivoting Sport)
- 前十字靭帯再建手術の再手術(Revision ACL Reconstruction)
膝の外側の靭帯補強手術の利点
研究では、膝の外側の靭帯群(Anterolateral Complex)が、膝の安定性において特に膝のねじれを防ぐ上で重要な役割を果たしていることがわかっており、通常、前十字靭帯の断裂と一緒に怪我をすることが多いです。
前十字靭帯と共に膝の外側の靭帯補強手術を行った場合、研究により、膝の安定性が向上し、手術した前十字靭帯への負荷が減少することが分かっています。また、膝の前十字靭帯が再度断裂するリスクが高い若年患者において、この手術を行うことで、前十字靭帯の断裂の再発率が3倍減少することが示されています。
この手術後のリハビリテーションプロセスと物理療法は、それぞれの患者に適したリハビリテーションプログラムをスポーツ医学の専門家チームが共同で設計することにより、安全にスポーツに復帰できるようにすることに変わりはありません。
膝の外側の靭帯補強手術を受ける際に知っておくべきこと
- 手術にはより長い時間がかかり、特殊な装置が追加で必要になる場合があります
- 膝の外側に追加の傷ができます
- 皮下血腫や、外側の靭帯を誤った位置に固定することや、過度に締めすぎることによるOver Constraintなど、潜在的な合併症が発生する可能性があります
しかし、非手術的治療、前十字靭帯の鏡視下手術、および膝の外側の靭帯補強手術による治療はすべて、FIFA Medical Centre of Excellenceの医療スタンダードに従って、患者とスポーツ選手にとって最善の治療成果を目指しています。膝関節鏡視下手術に特化したスポーツ医療専門の医師は、患者の多様な要因を考慮に入れ、それぞれの患者に最適な治療方針を提案します。