無管腺でよく見られる疾患について話すと、甲状腺は最近多く見られる上位にあります。甲状腺中毒や甲状腺にしこりができる異常などがあります。
甲状腺
甲状腺(Thyroid Gland)は、管のない腺で、蝶の形をしており、首の中央下部に位置しています。甲状腺ホルモンを産生し血流に放出し、下垂体(Pituitary Gland)と視床下部(Hypothalamus)の制御下にある体全体の器官へ送られます。通常、甲状腺の機能は非常によく制御され、甲状腺ホルモンのレベルが常時正常範囲内に保たれるようになっています。
“甲状腺疾患の85%は個人差があり、遺伝や遺伝子によるものは15%しかなく、多くの患者が自身の甲状腺異常を知らずにいます。”
甲状腺の症状
甲状腺の症状は多岐にわたります。甲状腺が大きくなっても正常に機能する場合、外側から見て首の前部に大きく見えるこぶがあります。甲状腺にできたこぶは、唾を飲む際に上下に移動します。ヨード不足による甲状腺の腫れは、甲状腺が過剰に働くため、細胞が増加しサイズが大きくなります。
さらに、甲状腺が拡大する原因のひとつは、異常に高い甲状腺ホルモンの産生による甲状腺中毒や、低い甲状腺ホルモンによる甲状腺ホルモン不足などがあります。また、甲状腺に単一のしこりや複数のしこりが見つかることもあり、病気の診断と治療計画を立てるためには医師が詳細な診断を行う必要があります。
また、甲状腺機能低下症(Hypothyroidism)では、疲れやすさ、集中力の欠如、ストレス、不眠症、倦怠感、筋肉のけいれん、体重増加、皮膚の乾燥やザラザラ感などが見られます。治療は甲状腺ホルモンの補充です。
甲状腺中毒の治療
甲状腺中毒(Hyperthyroidism)は、甲状腺が過剰に機能する状態です。甲状腺中毒の治療には、甲状腺ホルモンを抑制する薬が用いられます。具体的には- プロピルチオウラシル(PTU)
- メチマゾール(MMI)
もう一つの治療法は、ヨード放射性同位体を服用することで、甲状腺細胞を破壊し、サイズを小さくしてホルモンの生成を減らす方法です。これは簡単で効果的な方法です。
甲状腺疾患の心配事
甲状腺疾患に関連する心配事の一つは、甲状腺の腫瘍の発生です。これは女性に多く見られ、男性と比べて約4:1の割合です。
腫瘍の原因は様々で、正常よりも大きい甲状腺細胞、甲状腺の嚢胞、良性または悪性の腫瘍などがあります。甲状腺の腫瘍は約5–10%の確率で癌に進行する可能性があります。
甲状腺が大きくなる場合、腫瘍を片方または両方切除する手術が行われることがあります。これは甲状腺の状態によって決まります。非癌性の甲状腺腫大の場合、手術の目的は、腫瘍がかなり大きくなり外見上明らかになったり、急速に成長したりするなど、患者が心配する場合があります。
口腔内からの甲状腺手術の無傷手術技術
現在、口腔内を通じての無傷甲状腺手術(Scarless Thyroidectomy)が、首に手術痕を残したくない患者に新たな選択肢として開発されています。この方法では、手術後に外部に傷跡が残りません。
この方法で治療できる患者の条件は次のとおりです。
- 甲状腺のこぶのサイズが4 – 6センチメートルを超えないこと
- 以前に首やあごの手術を受けていないこと
- 以前に首に放射線治療を受けていないこと
- 全身麻酔に対する禁忌がないこと
手術は、口腔内の中央下部に10ミリメートルの穴を開けカメラを挿入し、両側に5ミリメートルの穴をあけて手術器具を挿入します。医師は筋肉や皮膚の下を慎重に剥離し甲状腺にたどり着いて切除します。この部位は手術後自然に治癒します。
手術の利点
口腔内からの甲状腺無傷手術の利点は次のとおりです。- 首に傷跡が残らない
- 傷跡を口の中に隠す
- カメラを通して声帯をコントロールする神経を明確に視認できるため、この神経に対する損傷のリスクが低減される
- 合併症が少ない
- 傷跡が早く治る
- 出血が少ない
- 痛みが少ない
- 手術時間が短い
- 手術後、約1–2週間で通常の生活に戻ることができる