多発性骨髄腫

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多発性骨髄腫

多発性骨髄腫について

 

多発性骨髄腫は形質細胞と呼ばれる白血球の一種ががん化してしまう病気です。形質細胞のおもな働きは抗体や免疫グロブリンを作り出すことで、細菌を認識して攻撃する抗体を作ることで私たちの体を感染から守っています。多発性骨髄腫は健康な血液細胞が集まる骨髄にがん細胞を増殖させます。

正常時、骨髄の中で作られる形質細胞の量は2~3%ですが、多発性骨髄腫を発病すると10%を超え、免疫グロブリンの産生に異常がみられ、骨粗鬆症や骨折、腎不全、体内のカルシウムの上昇などの異常を引き起こします。これらの異常はMタンパク(モノクローナルタンパク)と呼ばれる異常なタンパク質によるもので、60~70歳代でもっとも発症率が高く、40歳以下での発症はあまりみられません。

また、形質細胞は骨髄の外側に局在して形質細胞腫と呼ばれるがんを形成することがあり、脊椎や胸骨、肋骨に多くみられます。

現在、多発性骨髄腫に有効な治療法がありませんが、症状によってはこの10年の医学の進歩で患者の寿命を延ばすことが可能になりました。

 

原因

  1. 骨髄腫のはっきりした原因は未だ不明です。
  2. 異常なタンパク質(意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症-MGUS) を持つ患者から毎年1%以上の確率で多発性骨髄腫が発生する。

症状

  1. 顔面などの表皮の蒼白、疲労および異常出血
  2. 骨の痛み、骨折
  3. 血中カルシウム濃度の上昇による意識障害、便秘、失禁
  4. 顕著な体重減少

診断方法

  1. 血液検査による血小板数と形質細胞性白血病の検出
  2. 血液検査によるMタンパク、免疫グロブリン、血清遊離軽鎖のレベルの測定
  3. 腎機能、カルシウム、その他のミネラルの測定
  4. 骨髄検査による形質細胞の量と治療のための染色体の検査
  5. レントゲン検査(骨格の検査)
  6. 尿検査によるMタンパクレベルの測定

 治療

  1. おもな治療法は化学療法で、患者の年齢と体力によって決定されます。最近の新しい治療法は以前の化学療法に比べて多発性骨髄腫への治療効果が証明されています。また、プロテアソーム阻害剤や免疫調節薬を含む新しい投薬治療は病気の再発防止に効果を発揮しています。
  2. 65歳以下の患者(既往症がなく体力がある方)には化学療法の終了後、自家造血幹細胞移植がおこなわれます。65歳以上の場合は身体機能評価と医師の判断により自家造血幹細胞移植をおこなうことがあります。
  3. 形質細胞腫の場合は他の臓器への拡散防止、骨折による激しい痛みからの解放のためアブレーション(焼灼)が適用されます。
  4. ビスフォスフォネート製剤のような骨の強度を改善する投薬治療
  5. 痛みを軽減するための椎体・椎骨形成術 – 特殊器具(バルーン)を使用して脊椎専用の骨セメントを充填する治療

 

多発性骨髄腫治療センター

  1. 血液がん専門の医療チームが化学療法、幹細胞移植を含めた包括的な治療と医療相談をおこなっています。
  2. 世界最高の評価を受けているMDアンダーソンがんセンターとの提携により、血液・骨髄幹細胞移植センターでは最新設備で世界基準の治療をおこなっています。
  3. 治療中、治療後の合併症には感染症、呼吸器系、循環器系など様々な分野の専門家がチームを構成して対応しています。
  4. 化学療法部では合併症の専門知識を持つ経験豊富な看護師チームがサポートをしています。

 

Dr. Nuchanan Areethamsirikul

血液腫瘍医

情報提供者

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